【実践コラム】6,000万円を有した状態でリスケを行った事例
…手元資金を確保しながら経営危機を乗り越える方法
当事務所が財務部長を務めている企業様の事例をご紹介します。
今回は、資金的な余裕を持った状態でリスケを行ったA社の事例をご紹介します。
会社名:A社
リスケ直前期:
年商 :3億8千万円
経常利益 :600万円
現預金 :1億円
借入金額 :1億3千万円
毎月返済額:368万円
A社は創業以来順調に業績を伸ばしてきましたが、コロナ禍に
より大口顧客からの受注が停止し、赤字に陥ってしまいました。
金融機関からの借入を積極的に行い、キャッシュポジションを高く取る財務戦略を実践していたため、期首には1億円程度の預金がありました。しかし、赤字による資金流出に加え、毎月の返済額が368万円と多額であったため、半年程度で手元現預金が6,000万円程度に減少してしまいました。
現状では新たな借入は難しく、進行期の決算も赤字になることが確定的です。次に資金調達ができるのは、早くても来期決算後、約18カ月先となります。しかも来期に黒字化できればという条件つきです。
このため、すぐにリスケに動きました。今後の資金繰り見通しを作成し、このまま推移すれば1年後に資金が枯渇することを金融機関に説明し、すぐに返済額を0にするよう依頼しました。
メガバンクの方は比較的スムーズにご理解を得ましたが、ある地方銀行は手元資金に余裕がある状態なのになぜリスケをするのかと難色を示しました。これに対しては、A社の事業内容の特性上、大口の受注を取れた場合、それに見合う前払金を支払わなければならないため、手元現預金は5,000万円を切りたくないことを説明し、理解を得ることができました。
手元資金を6,000万円残してリスケするのと、12か月後に手元資金が0に近い状態でリスケするのでは、その後の打ち手が大きく変わります。手元資金がなくならなくてもリスケは可能ですので、資金が切れるという予測が立ったなら、すぐにリスケに動いてください。その方が良い結果を出せます。
○金融機関対応に関するご相談は、銀行融資プランナー協会正会員事務所にて承っております。お気軽にご相談ください。
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