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【経営コラム】競合との差別化戦略!(その2)

…重要な一点を外す、時には逆張りする!



■間接資材の卸売業を営むBIGな超優良企業T社さんの話です。


■卸売業である当社は膨大な在庫を抱えています。


さて、経営者はどこを管理するでしょうか?

あなたが管理部長なら、どんな指標をKPIに置くでしょうか?

コンサルタントならどんな助言をするでしょうか?


■一つ目は、在庫回転率です。


在庫回転率とは、一定期間内に在庫がいくつ出入りしているかを示す指標で、これが高いほど経営効率が良いとされ、通常は高くする、一定以上を維持することを目指します。


同業者との差別化の観点から考えてみましょう。

同業者は在庫回転率の目安として業界水準を探り、それを基準に目標を決めて管理します。経営管理ができる会社であれば、概ね業界水準を遵守し、業界水準よりも高ければ良い、と考えます。この指標を見た経営陣やステークホルダーからほめてもらえます。


■ここに大きな問題点が潜んでいます。


同じ商品属性を扱う同業者が、最大のKPIを在庫回転率と定義して、業界水準以上を目指すとどうなるか、コモディティー化、同質化が起きます。皆の在庫がほぼ同じ状態に向かって収束します。もちろん差は残りますが、それは努力の差であり、戦略の差ではありません。


■さて、世の中には一般常識が存在します。その常識を掛け合わせると、極めて納得しやすい素晴らしい?経営戦略らしきものが生まれます。それを見た経営幹部は、常識的であるがゆえに、承認しやすくなります。承認までに多数のハンコを要する大企業においては、特にこのような常識的な戦略が採用されやすいのでしょう。


■間接資材の卸売業を営むBIGな超優良企業T社さんの話に戻しますが…


この会社の戦略は…

・在庫回転率を気にしない

・逆に、在庫ヒット率の向上を図る

です。

※「在庫ヒット率」とは、顧客から受けた注文のうち、自社在庫から出荷した割合を示すT社の独自指標です。


T社さんは、在庫があって、早く納品できることが売上に直結するKPIであり、そもそも在庫回転率はお客様には関係ない指標だ、との方針で経営を続けておられます。もちろん在庫の増加を野放図のまま放置しているわけではなく、デジタルやAI技術を最大限活用して抑えておられるようです。


■差別化の観点で整理します。


◎普通に経営すると普通に収束し、差別化できなくなる。

◎逆に、すべてを普通でなくすると、経営が難しくなり破綻しやすくなる。

◎基本は論理に沿って常識的に経営しながら、重要な一点を外す、時には逆張りする。


これが差別化戦略の要諦ではないでしょうか。

T社様、トラスコ中山株式会社様、すごい会社を紹介させていただきました。


※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。

我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。

遠慮なくご相談ください。

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